[監修]小川 真里子(福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 特任教授)
お口の健康は、いつまでも自分らしくいきいきと過ごしていくために欠かせないもの。実は、このお口の健康も女性ホルモンの影響を受けることが、明らかになってきています。
もしも歯を失ったとしたらどうでしょう。見た目にも変化があるばかりか、食べづらくなって十分な栄養をとることも難しくなります。また、歯周病は全身の健康と深く関係しています。健康を守るためにも、若いうちから意識してお口のケアをしていくことが大切です。
月経周期に伴う女性ホルモンの影響によって、歯茎が腫れる、口内炎などの症状が現れやすい状態に。
妊娠すると女性ホルモンが急激に増加し、一般的に歯肉炎が起こりやすい他、つわりによる食習慣の変化や歯磨きの困難などから口腔環境が悪化し、虫歯や歯周病を発症しやすくなります。また、母親が歯周病に罹患(りかん)している場合、早産および低体重児出産のリスクが高くなることが指摘されています。
女性ホルモン分泌低下の影響で、唾液の分泌量が減ることから、ドライマウスになりやすく、口臭や歯周病のリスクが高まります。
歯周病は初期には自覚症状が少ないため、気が付かずに放置していると重症化して歯を失う恐れも。
この他、閉経に伴い骨密度も低下することから、歯を支えるあごの骨も弱くなります。
自分のお口の状態に合わせたブラッシング、歯間ブラシやフロスの選び方など、かかりつけ歯科医院で教えてもらいましょう。
(または口をゆすぐ、
うがいする)
よくかむことは唾液の分泌を促す。唾液は
口腔内をきれいにして、口臭を防ぐなどの
役割も。
ストレスは歯ぎしりや食いしばりが助長され、歯周病や顎(がく)関節症の悪化につながると指摘されています。
セルフケアだけで落としきれない汚れもあります。歯科医院でのプロのケアも定期的に!
歯周病は全身の健康と関連があるってホント?
糖尿病や心疾患など、さまざまな全身の疾患との関連が指摘されている!
歯周病とは、歯垢の中の「歯周病菌」によって、歯茎に炎症が起こる病気。「たかが、お口の病気」と侮るなかれ! この歯周病菌が血流に乗って全身へ広がり、心疾患や慢性腎臓病、糖尿病、骨粗しょう症、関節リウマチ、悪性新生物(がん)など全身疾患のリスクになることが明らかになってきています。
ふとしたときに、自分のお口のニオイが気になることはありませんか? 口臭の原因の多くは、歯と舌の汚れです。プラークや舌の汚れには、歯周病菌などたくさんの細菌がすんでいて、この細菌が食べかすを分解するときに嫌なニオイを出すのです。そのため、口臭が気になるときは、まずはセルフケアで歯と舌の汚れをしっかり落とすこと。また、歯周病などの病気が隠れていないか、歯科医院でお口の状態をチェックしてもらいましょう。
Copyright (C) 社会保険出版社 All Rights Reserved.
セルフケアをキチンとしていれば、歯科医院には行かなくていい?
お口の健康を守るために、定期的な歯科健診を受けましょう。
トラブルがなくても、歯科健診を!
「歯科医院は、歯が痛くなってから行くもの」と思っていませんか? 特に不調を感じていなくても、定期的に歯科健診を受けることで、トラブルを未然に防ぎ、お口の健康をキープすることができます。「セルフケアしているし、大丈夫!」という人も、セルフケアでは、落としきれない汚れもあるため、油断は禁物! 歯の健康を保つためには、自分で行う「セルフケア」と歯科医院での「プロフェッショナルケア」を両輪で進めることが大切です。